シェパード中央家畜診療所 松本大策先生の社内講習会 |
2月24日シェパード中央家畜診療所の松本大策先生をお招きし、営業担当者を対象にした和牛の飼養管理についての社内講習会を実施いたしました。
内容は、
・1年1産に向けた分娩前〜妊娠までの飼養管理
・もう一度肥育を考える 第1胃の違いを中心に
の2部構成で繁殖から肥育まで幅広いものでした。
講習会の概要は、和牛の“血統”の違い、さらに同じ血統でも“個体の違い”があり、お客様の牛や飼料を同じ目線で見ながら、問題点を共有し、既存の知識のみに頼ることなく、飼養管理の改善を御提案していく手法を教えて頂きました。
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| 繁殖成績の改善のため、まず卵巣や子宮の働きについて牛の生殖器の解剖学的な特徴、卵胞、黄体などの基礎知識、繁殖成績が落ちる栄養管理の例を説明され、その後にケーススタディの方式で牧場の問題点の事例を上げ(例えば初回種付け時に卵、卵巣が小さい→お産前の増し飼い飼料はやってますか?)その原因と改善方法について、ご自身の経験等を交えながら講義が行われました。 その他の問題点の事例は、後産停滞、排卵遅延、卵胞嚢種、発情周期の異常など繁殖障害の主な原因とされる事例であり、また第1胃の異常発酵に伴い発生するエンドトキシンが肝臓を傷め繁殖成績に悪影響を与えていること、さらに第1胃の異常発酵は血統による違いもあるとのことでした。 この血統の違いによる第1胃の異常発酵は“もう一度肥育を考える 第1胃の違いを中心に”で詳細に説明して頂きました。
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| 肥育の話は“第1胃の機能を中心に”肥育の基本、系統による管理の違い添加剤の利用について講習が行われました。 まず第1胃の機能について説明があり、血統の違いで第1胃の機能が異なるとの話が最も印象的でした。大まかには大型牛(気高系)はVFAの吸収速度が速いため、カロリー高め(筋肉量が多く代謝エネルギーが高いため)、小型牛の肉質系(田尻系)はVFA吸収速度が遅いため、カロリー低めで蛋白高め(筋肉量が少なく、代謝エネルギーが低く、筋間脂肪を付けないため)との話しでした。また、牛の外観の特徴から気高系、但馬系、糸桜系の見分け方なども教えていただきました。ただ血統に頼ることなく、牛の外観を見て牛の特徴を見極め管理していく大切さが理解できました。 肥育成績は、腹作りにあるとの話はよく聞きます。今回の講義ではサシの素は第1胃で作られ、サシの数を増やすのは繊維、サシを大きくするのは濃厚飼料であることを解説され2段階の腹作りとして、前半は、粗飼料による第1胃の容積とルーメンマット、粘膜絨毛の形成を、後半は濃厚飼料による腹作りと捉え、濃厚飼料の消化・吸収に向いた胃袋にする。牛のタイプに合わせた増飼も(気高は早め、田尻は遅め)この時期のポイントです。 またスムーズに腹を作るための、素牛の選定、群構成、導入期の体調不良を防ぐ方法や、導入時の抗生物質、ワクチンの使用、目的に応じた効果的な添加剤の使用方法が紹介されました。 最後に講義のなかで、お客様の牛の特徴をよく理解した上で、問題点を共有し、飼料会社として“お客様に飼料を使用して頂く”のではなくお客様の”幸せに貢献する”ための営業活動を行うことが良きパートナーとして、信頼されると教えて頂きました。その結果、お客様に“選んで頂ける飼料会社”になれるのではないかと思います。
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今回の講習会は全道各地の営業担当者が参加しました。講習内容で得た知識を役立て、よきパートナーとして選んで頂けますよう活かしていけたらと思います。